戦争前夜です

アヤ「というわけで、今日から高千穂峰に行ってまいります。
　　　……あ、両親には天文部で天体観測に行くと言ってありますので、
　　　ご心配なく。」

『いやいや、心配しますよ。アヤさん、気丈に振舞っているつもり
でしょうけど、声震えてますよ？
やっぱり緊張しているんですか？』

アヤ「それは、まあ……。戦線に立つのは初めてですし、緊張していない
　　　といえば嘘になりますね。」

アヤ「でも、怖くはありませんよ。皆様が一緒にいてくれますし。」

『そうですか……、強くなりましたね。』

アヤ「……？まるで幼い頃から知っているみたいな口ぶりですね。
　　　背後さんが家に現れたのは、最近のはずなのに……。」

『ズット、前カライマス。アナタガ幼イ時カラ、ズット。』

アヤ「そう、一味……違うのね……。」

…………。

『で。』

アヤ「はい。」

『アヤさんは、どのように戦おうとかは、決めてあるんですか？』

アヤ「まあ、おおよそですけど。
　　　基本的には応援と、重傷者の救助ですかね。あと、余裕があれば、
　　　戦線に立って逆侵攻防止に回ったり、回復アビリティで援護したり。」

アヤ「とは言っても、当日は皆様から指示があるので、私個人の判断で
　　　動くような事は無いでしょうけど。」

『こういうのはどうですか？
１．ヘリオンサインで偽の集合の号令を出す。
２．敵だけが集まってくる。
３．自身を中心にアークヘリオンで　爆！』

アヤ「それ、うち死ぬやん。」

『おお、関西弁でのツッコミ！』

アヤ「全く、人事だと思って変な事言わないでくださいよ！」

『はい、すみませんでした。』



『ところで、今回の戦場は高千穂峰とありますが、アヤさんにとっては
地元ですね。』

アヤ「そうですね。とは言っても、佐賀にいた頃の事はほとんど覚えて
　　　ないのですが。」

『お友達のこともですか？』

アヤ「恥ずかしながら、顔も名前もあまり覚えてないのです。
　　　もしかしたらバッタリ再会したり、或いは友軍の中にいたりするかも
　　　知れませんね。」

『それじゃあ逆に、敵軍にいたらどうしますか？』

アヤ「遠慮なく倒させていただきますよ。
　　　私情に迷ったり、余裕を持って戦える戦争じゃありませんから。」

『結構容赦ないですね。』

アヤ「流石に抵抗はありますよ？
　　　でも、今の私には護りたいものがありますから。」

『そういえば、アヤさんが遺言（？）を宛てた友人って、一体どんな人なんですか？』

アヤ「ああ、そちらは私が大阪に引っ越してからの友人ですよ。
　　　入学式の時に私を助けてくれた方や、両親を亡くして独りぼっち
　　　だった子や、漫画好きの能天気な子とか……」

『そちらは良く覚えているんですね。』

アヤ「ええ、まあ、何故かはよく分からないのですが。」



アヤ「それでは、私はもう明日に備えて休ませて頂きますね。」

『はい、おやすみなさい。』