座右の銘は「可愛いは正義！」

2010年7月某日、この日長南家に意外な来訪者が訪れる事となった……。

アヤ「──それで天文部では手作りプラネタリウムをすることになったのですよ。」

『なるほど、楽しそうですね。私も行ってみたいものです。』

アヤ「背後さんの姿は一般の方には見えないから、それは無理でしょう。」

『えー……』

……ピンポーン！

『おや、誰でしょうか？』

アヤ「私が出てきましょう。」

アヤ「はい、どちら様ですか？」

扉の前に立っていたのは、鉄仮面を被った女。
身長はアヤと同じぐらいだが、体格は精悍で力は強そうだ。

？？？「長南アヤ……だな？」

アヤ「ええ、そうですけど……？」

？？？「探したぞ。２年ぶりだな。」

アヤ「はい……？えと、貴方はどちら様なのでしょうか？」

？？？「なに……！私を忘れたというのか！」

アヤ「いえ、あの、全く存じませんが……」

？？？「何と言う事だ……。よもや私を忘れようとは……！」

アヤ「どなたか存じませんけど、あまりしつこいと警察を呼びますよ？」

？？？「わーッ、待った待った！あたしよ、あたし！
　　　　ちょっとからかっただけだよーん！」

そういうと、仮面の女は慌てた様子で仮面を脱ぎ去った。
さっきとは打って変わって素っ頓狂な声を上げてそういった。

アヤ「……？」

？？？「……まさか、ホントに忘れた？」

アヤ「……翔子、さん？」

翔子「あったりィー！久しぶりねアヤ！
　　　いやー、２年経って忘れられたかと思って、ヒヤッとしたよ！」

アヤ「えええ！？どうして翔子さんが？」

翔子「ま、詳しい話はあたしを家に上げてからにしてくれ。腹減った……」

そうして、言われるままに翔子を部屋に上げるアヤ。

翔子「これがアヤの部屋かー。」

アヤ「それにしても、本当に久しぶりですね。」

二人が出会ったのは中学の入学式の日。
ゴロツキ数人に絡まれていたアヤを颯爽と助けた人物が、この春河翔子なのである。

アヤ「それで、どうしてまた大阪から私の家を訪ねてきたのですか？」

翔子「おー、そうだった。実はな、あたし転校したんだ。」

アヤ「へえ、どこの高校にですか？」

翔子「ほれ、あの……銀、なんとか学園。あれ読めん。」

アヤ「もしかして、銀誓館学園……？」

翔子「そー、それ！」

アヤ「ええーーー！？」

翔子「！？ど、どったのアヤ？」

アヤ「私も銀誓館学園に通っているんです。」

翔子「おー、何たる偶然の一致か！」

アヤ「これも運命、なのでしょうか？」

しかしアヤは、まさか親友が能力者であろうとは思わなかった。
……この瞬間まで。

翔子「ところでさー、アヤ。その後ろに居る奴は何？使役ゴースト？」

『！？』

アヤ「ええーーーーーーーー！？」

翔子「アヤさっきからうるさい。」

アヤ「すみません、余りにも意外だったので……。
　　　すると、翔子さんも能力者なんですか？」

翔子「『も』って……、つまりアヤもなのかよー？」

アヤ「はい。」

翔子「マジかー……」

アヤ「本当に私達、運命の糸で繋がっているのでしょうか。」

翔子「『能力者同士は惹かれ合う』ってな。」

アヤ「それは、なんか違うと思いますが。」

翔子「ところでさ、アヤはいつ能力が発現したわけ？」

アヤ「能力が発現したのは小学生の時らしいです。」

翔子「えー、じゃああたしにずっと黙ってたの？
　　　……なんか気に入らないわね。頬っぺた突っつくわよ……！（つんつん）」

アヤ「いえ、能力だと気が付いたのは高校に入るときですから、
　　　黙ってたわけじゃ……。だから、突っつくのやめてくらはい……」

翔子「ふーん。あ、因みにあたしのは高校に入ってからね。」

アヤ「それじゃ、どうして私の家に？
　　　それ以前に、どうして私の家が分かったのですか？」

翔子「かくかくしかじか。」

アヤ「誤魔化さないでください！（つんつん）」

翔子「わーッ、わかった！話すから突っつかないで！」

翔子「えっとね、能力が発現してから銀誓館学園を知って、転校するにも、
　　　住む場所も寮入る金も無いって銀誓館に言ったらアヤん家の住所
　　　教えてもらった。
　　　あたしもアヤも経歴調べられてたみたい。凄い学園ね……。」

アヤ「それはつまり……？」

翔子「うん、今日からここに住ませて、アヤー！」

アヤ「ええーーーーーーーーーーーーー！？」

──そうして、長南家は新たな家族、春河翔子を迎える事になったとさ。

 

『今回の私、語りばっかりで出番がありませんでしたね……。』